ask.fmより「I've soundを好きになったきっかけを教えて下さい。」

小便は済ませたか?神様にお祈りは?部屋のスミでガタガタふるえて聞き手に回る心の準備はOK?
とまぁそれだけ長くなるかもしれないよ、という常套句は置いておいて、この手の質問は過去にも何度か触れたこともありますし、自分が参加した本(http://ive3.com/mah/lss/old/)に代表されるようにその都度答えてきた質問でもあります。ですから手っ取り早く知るには「過去ログ読め」の一言で済むのですが、アーカイブとして保存されていてもログを見つめ返す機会や気分になどは何がしかのキッカケがない限りそうそうなるものでもありません。
そんなこんなで前置きが長くなりましたが、今回も律儀に、かつ詳細に答えて行きたく思います。あと、さすがに長い時間が経過しているだけあって過去ログとの齟齬が生じていたり、記憶自体が改ざんされている可能性もあることは念頭に置いていただきたく思います。
そもそもの出会いは2004年の夏頃でありまして、当時の自分は教育テレビで放映されていた「天才ビットくん」なる番組に夢中でした。思春期の少年少女達のアイデアを踏襲しつつ番組のストーリーが進行するというインタラクティブ性はもちろんですが、2003年度まで月に一度放映されていたSIDE-Bなる特別企画が、司会がいとうせいこう氏であることを最大限まで活用したサブカル臭あふれるまたとない空気を醸し出していて、まさに唯一無二とはこの番組のためにあるのだと当時は感心していたものです。
そんな天才ビットくんでは番組内で10分程度のアニメ枠が設けられていたのですが、何を隠そう2004年度に放送されていたそのアニメこそが「魔法少女隊アルス」でした。本放送時はOP/EDの尺すら設けられておらず本編の映像が流れるのみのそっけないものでしたが、夏休みにはキッズ向けの番組らしく番組本筋のストーリーが休止するので、それに併せてアルス本編が番組の尺をフル活用して再放送する枠を設けており、それには番組の最後にED映像が流されるのです。
ここまで言えばもうお分かりかと思いますが、そのED曲こそKOTOKOのDuDiDuWa*lalalaであり、人生で初めて聴いたI'veなります。
しかしこの時には「特徴的な声ですごく耳に残るなぁ…KOTOKOというのか、チェックしておこう」という具合に、歌手の存在を認識した程度で、作曲家の存在には全くかすりもしなかったのです。当時の自分では致し方無いとは思いますが、10年前でしたらそんなものです。というか初邂逅からもう10年も経とうとしている事実にリアルタイムで恐れ慄いてる。

次にI'veに触れる機会が巡ってきたのは、それから8ヶ月ほど経過した2005年初春のことです。この頃にはすっかりキモオタとしての片鱗と趣味が花開き始めており、積極的に美少女チックな雰囲気をまとったコンテンツを鑑賞し始めていた時であり、同時にアニラジにも興味が湧いていた時期でもあります。当時自宅において最も重用されていたチャンネル周波数は、アナログ電波のラジオももちろんですが、それ以上にBSデジタル音声放送、BSQR489でした。関西圏に住みつつも唯一東京の電波を拾えるラジオ局としてBSデジタルは音質/環境ともに優秀でした。特別聞き入っていたのは関西では全く放送されていない「A&G 超RADIO SHOW~アニスパ!~」でした。そしてこの番組こそが後の運命を決定づける重大な分岐点になるのです。
このあたりのことはI've本にも書いてあることなのですが、出会いの場面をもう少し詳しく、かつ改めて書き記しておこうと思います。
その日(Wikipediaによると2005年3月26日)、例によって例のごとくBSQR経由でアニスパ!を聞いていたところ、ゲストとして能登麻美子が登板するという話が流れてきて我知らずテンションが上がりました。人並み程度に声優に興味を持ち始めていた時期、特別耳に残る気になる人がゲストとしてやってくるという事実はそれほどまでに人を昂揚させるものだとその時初めて知りました。ただ、それ以上に衝撃だったのは彼女がゲストに呼ばれた理由でした。ざっくり言えば出演しているゲームのプロモーションのための出演だったのですが、そのゲームの内容をラジオ越しに聞く内に、すっかりそのゲームの存在が気になってしまい名前を必至で覚えたことを覚えています。
ラジオから微かに流れてくる、美少女、ツンデレ、ロボット、アクションゲーム、硝煙の香り、当時の自分が求めていたもの全てがそのゲームには詰まっていました。そう、そのゲームこそ、PS2バルドフォースエグゼであり、自分がエロゲオタとして本格的な覚醒を促されたタイトルであり、後の人生のバイブルとして燦然と輝く作品であったのです。
話を戻しまして、とかくタイトル情報だけを入手した自分は、近所にある幾つかのゲームショップを梯子して「ばるどふぉーすって名前のゲームヨヤクしてますか?」と聞いて回りました。その内2軒は大型家電ショップだったので取り扱うはずもなく門前払いを喰らったのですが、最終的に地元の寂れた個人商店で漸く取り扱っていることを突き止めてすかさず予約、発売日当日に「入荷してますか?!」と宣い入手、それから先はゲームに夢中でした。ここから先のことはI've本に詳細に書いてありますので是非手に入れてね!(巧妙な宣伝)

さて、そんなこんなでPC版主題歌であるFace of Factに出会い衝撃を受けた訳ですが、実を言えばことここに至っても歌手に着目したのみであり作曲者には全く目もくれていなかったのです。それは後に同じTEAM BALDRHEADにより制作されたデュエルセイヴァーPS2移植作である「デュエルセイヴァーデスティニー」を続けてプレイした時も同じでした。同じスタッフによる作品なのだから同じ歌手が起用されるのは当たり前だよなー、とその程度の感慨しかなかったのです。その頃にはKOTOKOの関連楽曲は幾つか買いあさっており、当時の友人が聴かせてきた「Re-sublimity」に軽く衝撃を受けていたあたりでしょうか。1分を超えるイントロ、サイケデリックな音色、叙情的な歌詞その全てがKOTOKOという歌手のイメージを決定づけたと言っても過言ではありませんが、それでもやはり「歌手で評価する」域を脱することは叶いませんでした。
その閾値を軽く飛び越える作品に遭遇したのは、2006年春頃です。当時は引っ越しの準備で現実まわりがバタバタしていたこともあり色々と参っていた時期でもありました。そんな精神的に逼迫していたとある日の深夜、なんとはなしにテレビを流し見していると、テレビから流れてくるあまりにも強烈なイメージが目につきました。マズルフラッシュ、硝煙の匂い、陰謀のセオリー、ロアナプラが織りなすアウトロー特有の空気感。そう、ブラックラグーンのアニメでした。そのアニメが放つ強烈な空気を見事に表現したOP映像、そして激しいギターリフを背景に鳴り響くサイケデリックな特有の音色。表示される一瞬のクレジット。MELL高瀬一矢。I've。それらの文字列が鮮明に脳内を過っていきました。
その後しばらくして無事に引っ越しも終わり、それを契機に家に

 

と、ここまで書いたところでask.fmの文字数制限に引っかかってしまいました。ホントに長くなりすぎてしまった……。

 

まぁそれはともかく続きを書いていきますと、引っ越しを機に我が家にネット環境がやって来まして、調べ物が捗るようになりました。それ以前から学校のPCを借り受けてネットの空気には幾分か触れていたので大きな問題も起きることなく調べ物に徹するのにそんなに時間はかかりませんでしたね。

その調べ物の過程で、事ここに至り漸くI'veという名前の意味するところに行き着くのです。そして過去の自分の節目に触れてきた音楽たちは全てI'veに通じていることが、調べていく内に明らかになっていきました。先述のバルドフォースエグゼやデュエルセイヴァーデスティニーはもちろん、電撃文庫に夢中になっていた青春時代、同時に受験勉強で憔悴しきっていた時期に唯一の楽しみだったスターシップ・オペレーターズのOP/EDを飾っていた「radiance/地に還る ~on the Earth~」、同じく電撃文庫に夢中になっていた延長線として素直にアニメ化が楽しみだった灼眼のシャナのナンバーである「緋色の空」「being」、そして「Re-sublimity」、その自分を夢中にしてきた音楽の全てがI'veであると知った時の衝撃は、今でも鮮明に記憶に焼き付いています。

 

そんなこんなで、初めての出会いから実に2年もの間、認識するまで時間を費やしたことになるわけですが、その時間、つまり自分が歩んできたオタクとしての歴史は、同時に自分が知らず知らずのうちに歩んできたI'veおよび音楽に対する価値観の歴史でもあるわけです。そりゃ夢中にならないわけないよね。