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「キミ」を歌う「君」 -P-MODEL/平沢進 歌詞テキストマイニング-

まとめ
  • 事の始まり

2015年も半ばを過ぎたある日、Webをなんとはなしに眺めていたらこんな報せが飛び込んできました。

そこからさらに経ること約1週間後、平沢進本人のTwitterからこんなPostが投下されました。

待ちに待ったオリジナルソロ新譜完成のお知らせと、それに合わせたライブのお知らせ。自分含めて新作を待ち望んでいた人たちには嬉しい知らせだったに違いありません。

と言うわけでもないですが、新譜の発売も間近であるこのタイミングに、テキストマイニングなるものを試みたエントリを数ヶ月間で立て続けに目撃しました。

そんな流行りに今回も乗っかる形でテキストマイニングP-MODEL/平沢進の曲で試してみました。誰か手を付けていないか確認するために一度「平沢進 テキストマイニング」で検索したところ、誰も手を付けていないことが判明したので、なら自前で用意するしかないだろうと思い立ったのが事の発端であります。

テキストマイニングの世界まで一緒に行きませんか?と誘われているように思えました。

 

  • 条件設定、そして集計へ……。

テキストマイニングとはどんなものなのかについては各自検索していただくとして、今回は以下の条件に当てはまる楽曲を対象にしました。

 

  • ケイオスユニオン/TESLAKITEレーベルから発売された音源(P-MODEL/ソロBOX SET、MP3配信曲含む)
  • 上記BOX SETのうち、オリジナルアルバムおよびシングル、タイアップ付きの曲を対象とする。(SCUBAを除く企画モノは今回は選外。つまり前身バンドマンドレイク発掘音源、不許可曲集、ソノシート配布音源、旬名義、DIW/SYUNレーベル、P-PLANTやアンケートウェア限定MP3、BOX限定音源は今回は無い。完全に無い。清清しく無い)
  • 歌詞の表記は原則、両BOX SETのブックレット/PDFファイルおよびCDブックレット/txtファイルの表記を参照する。露骨な誤字がない限り表記揺れなどの修正は加えない。
  • アレンジ違いの曲がある場合、歌詞の表記は「オリジナルアルバム/シングル収録>初出時系列>その他の企画」を優先とする。(つまりSCUBA初出の曲はソロアルバム収録分、星を知る者はMP3配信版の表記を優先する)
  • 他アーティストへの提供曲は「セルフカバー」した楽曲とする。歌詞の表記は元曲に準ずる。
  • SWITCHED-ON LOTUS収録「SEH LE MAO」はそもそも原曲/原詞がタイの民謡なので今回は対象外。
  • 歌っててもそもそも歌詞がないものもあるんですよ!
  • Tetragrammaton?ステルスマン??知らない子ですね……。

 

既に細かい条件が幾つか付与されていますが、ともかく上記に当てはまる全271曲を対象として、集計用フリーソフトの代表格であるKH Coderを使い、まずは頻出する150単語を集計してみました。特に条件は何も設定せず、単純にソフトウェア任せです。

その結果がこちら。

  抽出語 出現回数   抽出語 出現回数   抽出語 出現回数
1 見る 207 50 41 101 シティー 25
1 207 50 遥か 41 101 トルヒーヨ 25
3 162 50 41 101 越える 25
4 来る 151 54 明日 40 101 25
5 146 55 晴れる 39 101 応える 25
6 行く 145 55 流れる 39 101 25
7 136 57 36 107 回る 24
7 136 57 36 108 テラ 23
9 115 59 タービン 35 108 過去 23
10 114 60 宇宙 34 108 行ける 23
11 知る 103 60 帰る 34 108 始まり 23
12 呼ぶ 100 60 34 108 持つ 23
13 98 63 カウボーイ 33 108 届く 23
14 95 63 隠す 33 114 はるか 22
15 85 63 深い 33 114 ママ 22
16 82 63 日々 33 114 22
17 遠い 76 67 見せる 32 114 会う 22
18 74 67 32 114 奇跡 22
19 71 69 ホー 31 114 22
19 71 69 31 114 消す 22
21 69 69 高い 31 114 22
21 消える 69 69 思い出す 31 114 22
23 見える 67 69 31 114 想い 22
24 咲く 66 69 聞く 31 114 白い 22
24 吹く 66 75 レイ 30 114 流れ 22
26 65 75 開く 30 126 ロケット 21
27 64 75 静か 30 126 急ぐ 21
28 ハイ 63 78 響く 29 126 光る 21
29 58 78 世界 29 126 全て 21
30 遠く 56 78 29 126 21
31 聞こえる 55 78 走る 29 126 燃える 21
32 立つ 54 78 待つ 29 126 変わる 21
33 52 78 飛ぶ 29 126 連れる 21
34 51 78 鳴る 29 134 ドクター 20
35 降る 49 85 果て 28 134 フロア 20
35 49 85 泣く 28 134 ラヴ 20
35 無い 49 85 言葉 28 134 20
38 48 85 28 134 在る 20
38 閉じる 48 89 27 134 姿 20
40 47 89 今日 27 134 照らす 20
40 歌う 47 89 追う 27 134 20
40 47 89 未来 27 134 打つ 20
43 サークル 46 93 シアン 26 134 変える 20
44 ヤイ 45 93 ディン 26 144 ナース 19
45 44 93 ハル 26 144 黄金 19
45 44 93 止む 26 144 何故 19
47 生まれる 43 93 生きる 26 144 19
47 眠る 43 93 26 144 言う 19
49 42 93 忘れる 26 144 子供 19
50 いつか 41 93 落ちる 26 144 昇る 19

 「見る」「声」が同率1位で、3、4、5位で夢来る人とロマンス溢れる言葉が並びますね。下位の単語も「ハルディン」と認識されず一部分かれてるものもありますが、ピンとくるものは幾つかあるのではないでしょうか。

ただこのデータ、少し問題がありまして、ファンなら何度となく耳にするはずのあの単語が認識されていないらしく、上位150にすらランクインしていないんですね。これではデータの整合性が取れません。

そこでもう一つ、

今度はこちらのページを使い、頻出する単語を解析してみることにしました。このページでは対象となるテキストの関係性を視覚化した共起ネットワークと名刺/動詞/形容詞の頻出語ランキングが表示され、ランキングデータはcsvファイルとしてダウンロードすることが出来ます。

その結果解析された各品詞トップ10がこちら。

品詞 単語 出現回数 品詞 単語 出現回数 品詞 単語 出現回数
名詞 h2 508 動詞 行く 167 形容詞 いい 75
名詞 キミ 442 動詞 見る 160 形容詞 ない 62
名詞 よう 124 動詞 来る 144 形容詞 遠い 58
名詞 OH 58 動詞 する 125 形容詞 見よい 34
名詞 ボク 54 動詞 れる 123 形容詞 深い 33
名詞 ここ 51 動詞 呼ぶ 99 形容詞 無い 30
名詞 Ha 45 動詞 いる 86 形容詞 高い 29
名詞 遠く 45 動詞 知る 80 形容詞 白い 18
名詞 サークル 45 動詞 てる 73 形容詞 長い 14
名詞 Ah 44 動詞 なる 63 形容詞 黒い 10

 見出し用のh2タグが含まれているのは論外としても、動詞/形容詞の出現回数と内容に大差がなかったのに対し、名詞は「キミ」「ボク」などの一人称に大きな抜けが存在しているのがよくわかります。

そこで、h2タグを除いた上記表の名詞出現回数トップ5を強制抽出するように指定。改めてKH Coderで集計してみることにしました。

  抽出語 出現回数   抽出語 出現回数   抽出語 出現回数
1 キミ 521 50 44 98 止む 26
2 よう 214 52 生まれる 43 98 生きる 26
3 見る 207 52 眠る 43 98 26
3 207 54 42 98 届く 26
5 162 54 遥か 42 98 忘れる 26
6 来る 151 56 いつか 41 98 落ちる 26
7 146 56 41 107 シティー 25
8 行く 145 56 41 107 トルヒーヨ 25
9 136 59 明日 40 107 越える 25
9 136 60 晴れる 39 107 25
11 115 60 流れる 39 107 応える 25
12 114 62 帰る 37 107 25
13 知る 103 63 36 113 回る 24
14 呼ぶ 100 63 36 114 はるか 23
15 98 65 タービン 35 114 テラ 23
16 95 66 宇宙 34 114 過去 23
17 85 66 34 114 行ける 23
18 82 68 カウボーイ 33 114 始まり 23
19 74 68 深い 33 114 持つ 23
20 遠い 73 68 日々 33 120 ママ 22
21 71 71 見せる 32 120 22
21 71 71 32 120 会う 22
23 69 73 ホー 31 120 奇跡 22
23 消える 69 73 隠す 31 120 22
25 見える 67 73 31 120 消す 22
26 咲く 66 73 高い 31 120 22
26 吹く 66 73 思い出す 31 120 22
28 65 73 31 120 想い 22
29 OH 64 73 聞く 31 120 白い 22
29 64 80 レイ 30 120 流れ 22
31 ハイ 63 80 開く 30 131 ロケット 21
32 遠く 59 82 響く 29 131 急ぐ 21
33 58 82 世界 29 131 光る 21
34 ボク 55 82 29 131 全て 21
34 聞こえる 55 82 走る 29 131 21
36 立つ 54 82 待つ 29 131 燃える 21
37 ここ 53 82 飛ぶ 29 131 変わる 21
38 52 82 鳴る 29 131 連れる 21
39 51 89 泣く 28 139 ドクター 20
40 降る 49 89 言葉 28 139 フロア 20
40 49 89 静か 28 139 ラヴ 20
42 48 89 28 139 20
42 閉じる 48 93 果て 27 139 在る 20
44 47 93 27 139 姿 20
44 歌う 47 93 今日 27 139 照らす 20
44 47 93 追う 27 139 20
47 サークル 46 93 未来 27 139 打つ 20
47 無い 46 98 シアン 26 139 変える 20
49 ヤイ 45 98 ディン 26 149 ナース 19
50 44 98 ハル 26 149 黄金 19

 結果はご覧のとおり。強制抽出とは言え2位とダブルスコア以上の差をつけて「キミ」がトップに躍り出ることになりました。ファンにとっては当然、そうでなくても予定調和な結果ではないかと思います。

 

  • 集計のその先へ

さて、ここまではあくまで文章ごとに頻出する単語をカウントしてきたわけですが、ここからは名詞トップ5強制抽出を適用しつつ少しだけ手を加えて他の結果を導き出してみましょう。

まずはざっくりと世代ごとに頻出した単語トップ50から。

1979-1988 1989-1994 1995-1999 2000-2013
  抽出語 出現回数   抽出語 出現回数   抽出語 出現回数   抽出語 出現回数
1 ボク 45 1 キミ 141 1 キミ 164 1 キミ 179
2 よう 40 2 50 2 85 2 見る 96
3 キミ 37 3 サークル 45 3 よう 77 3 来る 79
4 33 3 45 4 63 4 よう 66
5 見る 30 5 行く 43 5 来る 60 5 知る 62
6 26 5 43 6 56 6 60
7 シティー 25 7 呼ぶ 42 7 54 7 59
8 フロア 20 7 42 8 見る 44 8 44
8 ラヴ 20 9 39 9 行く 40 8 行く 44
8 20 10 38 10 遠い 37 10 43
11 行く 18 11 見る 37 10 37 11 42
11 子供 18 12 タービン 35 10 呼ぶ 37 11 42
13 ウェイ 17 13 カウボーイ 33 13 見える 35 13 41
13 ドクター 17 14 ハイ 32 14 34 14 咲く 36
13 ワン 17 15 よう 31 15 33 15 35
13 言う 17 16 レイ 30 16 32 15 35
13 言葉 17 16 吹く 30 16 32 17 34
13 17 16 30 18 遠く 29 17 34
19 16 19 28 18 29 19 ヤイ 33
19 季節 16 19 閉じる 28 20 OH 26 20 32
21 15 21 シアン 26 20 歌う 26 21 無い 31
22 どー 14 21 ディン 26 22 25 22 30
22 流れる 14 21 ハル 26 22 25 23 聞こえる 28
24 13 24 トルヒーヨ 25 24 24 23 立つ 28
24 13 24 25 24 知る 24 25 26
24 美術館 13 26 24 26 いつか 21 25 26
27 ランドセル 12 27 晴れる 23 26 ハイ 21 27 OH 25
27 会う 12 28 消える 22 26 21 28 見せる 24
27 12 29 ここ 21 26 21 29 21
27 想い 12 29 21 26 21 29 降る 21
27 12 31 20 31 深い 20 31 20
32 ママ 11 31 20 31 流れる 20 31 遠い 20
32 消える 11 33 ロケット 19 33 ナース 19 31 20
34 エゴ 10 33 始まり 19 33 19 31 吹く 20
34 ミーハー 10 35 バンジージャンプ 18 35 カフェ 18 31 遥か 20
34 10 35 18 35 18 36 隠す 19
34 日々 10 35 世界 18 35 流れ 18 36 呼ぶ 19
34 10 35 18 38 ここ 17 36 消える 19
39 アトム 9 39 インディアン 17 38 はるか 17 36 追う 19
39 サンシャイン 9 39 17 38 消える 17 36 未来 19
39 9 39 越える 17 38 17 41 テラ 18
39 開く 9 39 17 42 生まれる 16 41 何故 18
39 9 39 17 42 眠る 16 41 在る 18
39 黒い 9 39 山頂 17 42 16 41 生まれる 18
39 死ぬ 9 39 17 42 連れる 16 41 鳴る 18
39 知る 9 46 クラ 16 46 届く 15 46 遠く 17
39 9 46 スター 16 46 日々 15 46 17
39 名前 9 46 タブー 16 46 聞こえる 15 46 17
39 明日 9 46 ベル 16 46 遥か 15 46 17
50 ピンク 8 46 16 50 宇宙 14 46 17

 結果、最初期は「ボク」がトップで、ソロ活動を開始してから「キミ」が軒を連ねる事に。基本3桁で安定していますが現代に近づくにつれて増加傾向にありますね。

ちなみに最初に「キミ」が歌詞に登場したのは、P-MODEL 1stアルバム「IN A MODEL ROOM」収録の「ルームランナー」で、翻って最後に「ボク」が確認されたのはP-MODEL 11thアルバム「電子悲劇/~ENOLA」収録の「BOGY」でした。

 

続きましては「単語単位ではなく曲単位で集計する」方法です。ラブライブ!テキストマイニングエントリの中でも指摘されていたように「連呼されている語に結果が引っ張られてしまう」のは今回の集計でも例外ではありません。「カウボーイ」なんかがいい例ですね。

特にヒラサワはサビの連呼が特別印象に残るタイプの音楽使いなのでこの集計方法は必須と言えるでしょう。

そうして「多くの曲に用いられた単語」を抽出してみた結果がこちら。

  抽出語 曲数   抽出語 曲数   抽出語 曲数
1 キミ 129 50 22 95 13
2 96 50 日々 22 95 走る 13
3 行く 82 50 聞く 22 95 秘密 13
4 よう 81 50 22 95 描く 13
5 見る 80 50 遥か 22 95 舞う 13
5 80 56 宇宙 21 95 忘れる 13
7 70 56 帰る 21 95 流れ 13
8 68 56 言葉 21 95 流れる 13
9 65 56 21 109 黄金 12
10 61 56 届く 21 109 12
10 来る 61 61 光る 20 109 12
12 57 61 20 109 終わる 12
13 55 63 高い 19 109 場所 12
14 知る 54 63 深い 19 109 12
15 50 63 待つ 19 109 12
16 46 66 ボク 18 109 12
16 呼ぶ 46 66 見せる 18 109 追う 12
18 45 66 生きる 18 109 渡る 12
19 44 66 18 109 12
19 44 66 燃える 18 109 12
21 消える 39 66 飛ぶ 18 109 変わる 12
22 38 72 隠す 17 109 未来 12
22 38 72 響く 17 109 眠り 12
22 38 72 今日 17 124 記憶 11
25 37 75 過去 16 124 景色 11
26 咲く 35 75 開く 16 124 在る 11
26 立つ 35 75 16 124 焼く 11
28 34 75 姿 16 124 晴れる 11
29 見える 33 75 16 124 静か 11
29 降る 33 80 打つ 15 124 洗う 11
31 遠い 32 80 15 124 想い 11
31 遠く 32 80 15 124 地図 11
31 32 80 落ちる 15 124 通る 11
34 吹く 31 84 越える 14 124 抱く 11
35 眠る 30 84 急ぐ 14 124 鳴る 11
36 29 84 泣く 14 124 目覚める 11
36 29 84 行ける 14 137 はるか 10
38 ここ 28 84 思い出す 14 137 ひとつ 10
38 歌う 28 84 消す 14 137 隠れる 10
38 28 84 照らす 14 137 10
41 27 84 14 137 10
41 27 84 14 137 枯れる 10
41 27 84 閉じる 14 137 10
44 無い 25 84 連れる 14 137 昇る 10
45 24 95 13 137 乗せる 10
45 生まれる 24 95 応える 13 137 世界 10
45 明日 24 95 解く 13 137 切る 10
48 23 95 回る 13 137 10
48 聞こえる 23 95 奇跡 13 137 全て 10
50 いつか 22 95 13 137 変える 10

 ここにおいても「キミ」が3桁を記録しています。とは言え全体を通して動詞や形容詞が増えたことで、より抽象的かつ大仰な表現を思わせる趣を漂わせていますね。ここにある単語を無作為に選べばすべてはコピー!とまではいかないまでも軽く歌詞のトレースが出来てもおかしくないかもしれない。

 

  • ここまで「キミ」が溢れたら

正直「キミ」と呼びかけた数が最も多いのはどの曲なのかが気になります。ここまで「キミ」が溢れたら最も「キミ」カウントを稼いだ曲こそ最もヒラサワらしい曲と言えるのではないでしょうか?と言いつつ実際は頻出単語での集計が面倒くさいだけなので一番簡単な方法を採用しているに過ぎない。

と言うことで、筆者が各曲手動でカウントして「キミ」カウントを最も稼いだ、最もヒラサワらしい曲(多分)がこちらになります。

 

 オーロラ 同名のソロ4thアルバム収録 22回

作詞/作曲/編曲/歌唱 平沢進


海峡の夜のように 古い風は吹いて
眠りへと船出する 《キミ》のドアを叩く
あー 窓に あー オーロラ
祈るなら 今は 願いは叶うと
祈るなら 今は 願いは叶うと
明日の日を掲げては 町が《キミ》を隠す
目覚めてはもう二度と 《キミ》の声は聞けず
あー 窓に あー オーロラ
目をみはれ 今は 夜が歌う時
目をみはれ 今は 夜が歌う時
《キミ》の始まりの日へ 《キミ》の始まりの日へ
《キミ》の始まりの日へ 帰る日に
《キミ》の始まりの日へ 《キミ》の始まりの日へ
《キミ》の始まりの日へ 帰る日に
目をみはれ 今は 夜が歌う時
目をみはれ 今は 夜が歌う時
胸をすく混沌に 今命を洗う
隠れてた《キミ》の名を 月が夜に照らす
あー 窓に あー オーロラ
祈るなら 今は 願いは叶うと
祈るなら 今は 願いは叶うと
《キミ》の始まりの日へ 《キミ》の始まりの日へ
《キミ》の始まりの日へ 帰る日に
《キミ》の始まりの日へ 《キミ》の始まりの日へ
《キミ》の始まりの日へ 帰る日に
《キミ》の始まりの日へ 《キミ》の始まりの日へ
《キミ》の始まりの日へ 帰る日に
《キミ》の始まりの日へ 《キミ》の始まりの日へ
《キミ》の始まりの日へ 帰る日に

 典型的なサビで連呼して稼ぐパターンですね。個人的にはLIVE白虎野で演奏されたアレンジバージョンがアンセムです。

なお、オーロラ以下の「キミ」カウント上位は以下のとおりになります。

  • Caravan 15回
  • 風の分身/Big Brother 14回
  • Lotus/Timelineの東 12回
  • デューン/Amputeeガーベラ 11回
  • 静かの海/Phonon Belt/Dr.древние(Dr.Drevniye) 8回

主だった調査は以上になります。

 

  • 番外編

最後は少し本題から逸れて一つの試みをしてみようと思います。

これまではP-MODEL/ソロ活動含めてほぼ全体の曲にわたって集計を行ってきましたが、その中から「P-MODELにおいてヒラサワが作詞に携わらなかった(クレジットされなかった)30曲」に限定した頻出語の抽出を試みてみたいと思います。

P-MODELとして携わったメンバーたちは一体どんな言葉を綴っていたのか、その結果がこちらになります。

  抽出語 出現回数   抽出語 出現回数   抽出語 出現回数
1 シティー 24 44 モノクローム 4 75 走る 3
2 18 44 4 75 送る 3
3 17 44 火薬 4 75 知らん振り 3
4 季節 16 44 花火 4 75 3
5 14 44 4 75 追いかける 3
6 子供 13 44 語る 4 75 伝える 3
7 ランドセル 12 44 光る 4 75 途切れる 3
7 想い 12 44 今日 4 75 3
9 10 44 死ぬ 4 75 閉じる 3
10 行く 9 44 4 75 訪れる 3
10 9 44 上手 4 75 紡ぐ 3
10 9 44 生む 4 75 眠る 3
13 サンシャイン 8 44 4 75 無関心 3
13 果て 8 44 待つ 4 75 目覚める 3
13 8 44 地球儀 4 75 3
13 言葉 8 44 吐き出す 4 75 友だち 3
13 黒い 8 44 4 75 来る 3
13 場所 8 44 届く 4 75 落とす 3
13 8 44 坊や 4 75 流れ 3
13 白い 8 44 名前 4 75 3
21 呼ぶ 7 44 明日 4 75 隣る 3
21 知る 7 44 予感 4 122 いつか 2
23 キー 6 44 連れる 4 122 たより 2
23 ジャン 6 44 4 122 ひとつ 2
23 スクリーン 6 75 パラダイス 3 122 アップ 2
23 ランナー 6 75 ユニバース 3 122 ウェット 2
23 ルーム 6 75 宇宙 3 122 ウソ 2
23 6 75 遠く 3 122 ウラ 2
23 響く 6 75 3 122 クリア 2
23 行ける 6 75 苛立つ 3 122 スーツ 2
23 生まれる 6 75 怪しい 3 122 タバコ 2
23 眠り 6 75 確かめる 3 122 バカンス 2
23 6 75 瓦礫 3 122 ポケット 2
34 エリート 5 75 奇跡 3 122 ミサ 2
34 シーン 5 75 輝く 3 122 メビウス 2
34 映す 5 75 3 122 ラヴ 2
34 5 75 3 122 愛し合う 2
34 向こう 5 75 3 122 2
34 消える 5 75 見つめる 3 122 2
34 深い 5 75 高い 3 122 一番 2
34 5 75 3 122 飲みこむ 2
34 彼方 5 75 昨日 3 122 映し出す 2
34 5 75 3 122 科学 2
44 いつ 4 75 思考 3 122 果実 2
44 かすか 4 75 示す 3 122 花粉 2
44 スーパーマン 4 75 3 122 過ぎる 2
44 ナチュラル 4 75 出会う 3 122 2
44 パパ 4 75 醒める 3 122 2
44 パブ 4 75 3 122 感じる 2
44 ママ 4 75 先生 3 122 2

 如何せんもともとの曲数が少ないので必然的に出現回数も減少傾向ですが、今回も何も手を加えないままだと「サンシャイン・シティー」の1曲しか出てこない単語でトップを占めてしまいます。このままではいけません。

そこで強制抽出の出番となりますが、困ったことにUser Localのフリーページで算出しても品詞のランキングにそれほどの差はありませんでした。このままでは何も発展しません。

そこで、30曲全ての語句を改めて検分し、頻出したとある一人称二つを強制抽出することにしました。その結果トップに躍り出た単語が、

  抽出語 出現回数
1 35
2 シティー 24
3 22
4 18
5 17

 「君」でした。

ヒラサワは「キミ」を歌い、メンバーたちは「君」を歌う。ただの個人間での表記揺れでしかないかもしれませんが、果たしてこれが偶然の産物で済まされるものなんでしょうか?興味は尽きません。

 

  •  最後に

 歌詞のテキストマイニングと言う個人的に初めての試みでしたが、世代や全体を通したパターンの定量化を実感できたのが収穫でした。そう言う意味では集計している時よりもむしろ歌詞を手打ちしている時のほうが体感的には新しい発見に満ちていたかもしれない。

とは言え、ただただ「キミ」と無秩序に呼んでいたとしてもそこには無数の無意識への入口が接続されているのがヒラサワと言う音楽使いの魅力の一つでもあり、前後の文脈でいくらでも意味や様相が変わってくるのは言うまでもないことです。あくまでこれは言葉を一つのマシーン……いやさデータとして捉えた場合のレイヤーに過ぎないのですから。

それでも「キミ」が便利過ぎる気がしないでもないですが。

 

新作では一体何度「キミ」と誘われるのか、今から楽しみです。

ask.fmより「I've soundを好きになったきっかけを教えて下さい。」

小便は済ませたか?神様にお祈りは?部屋のスミでガタガタふるえて聞き手に回る心の準備はOK?
とまぁそれだけ長くなるかもしれないよ、という常套句は置いておいて、この手の質問は過去にも何度か触れたこともありますし、自分が参加した本(http://ive3.com/mah/lss/old/)に代表されるようにその都度答えてきた質問でもあります。ですから手っ取り早く知るには「過去ログ読め」の一言で済むのですが、アーカイブとして保存されていてもログを見つめ返す機会や気分になどは何がしかのキッカケがない限りそうそうなるものでもありません。
そんなこんなで前置きが長くなりましたが、今回も律儀に、かつ詳細に答えて行きたく思います。あと、さすがに長い時間が経過しているだけあって過去ログとの齟齬が生じていたり、記憶自体が改ざんされている可能性もあることは念頭に置いていただきたく思います。
そもそもの出会いは2004年の夏頃でありまして、当時の自分は教育テレビで放映されていた「天才ビットくん」なる番組に夢中でした。思春期の少年少女達のアイデアを踏襲しつつ番組のストーリーが進行するというインタラクティブ性はもちろんですが、2003年度まで月に一度放映されていたSIDE-Bなる特別企画が、司会がいとうせいこう氏であることを最大限まで活用したサブカル臭あふれるまたとない空気を醸し出していて、まさに唯一無二とはこの番組のためにあるのだと当時は感心していたものです。
そんな天才ビットくんでは番組内で10分程度のアニメ枠が設けられていたのですが、何を隠そう2004年度に放送されていたそのアニメこそが「魔法少女隊アルス」でした。本放送時はOP/EDの尺すら設けられておらず本編の映像が流れるのみのそっけないものでしたが、夏休みにはキッズ向けの番組らしく番組本筋のストーリーが休止するので、それに併せてアルス本編が番組の尺をフル活用して再放送する枠を設けており、それには番組の最後にED映像が流されるのです。
ここまで言えばもうお分かりかと思いますが、そのED曲こそKOTOKOのDuDiDuWa*lalalaであり、人生で初めて聴いたI'veなります。
しかしこの時には「特徴的な声ですごく耳に残るなぁ…KOTOKOというのか、チェックしておこう」という具合に、歌手の存在を認識した程度で、作曲家の存在には全くかすりもしなかったのです。当時の自分では致し方無いとは思いますが、10年前でしたらそんなものです。というか初邂逅からもう10年も経とうとしている事実にリアルタイムで恐れ慄いてる。

次にI'veに触れる機会が巡ってきたのは、それから8ヶ月ほど経過した2005年初春のことです。この頃にはすっかりキモオタとしての片鱗と趣味が花開き始めており、積極的に美少女チックな雰囲気をまとったコンテンツを鑑賞し始めていた時であり、同時にアニラジにも興味が湧いていた時期でもあります。当時自宅において最も重用されていたチャンネル周波数は、アナログ電波のラジオももちろんですが、それ以上にBSデジタル音声放送、BSQR489でした。関西圏に住みつつも唯一東京の電波を拾えるラジオ局としてBSデジタルは音質/環境ともに優秀でした。特別聞き入っていたのは関西では全く放送されていない「A&G 超RADIO SHOW~アニスパ!~」でした。そしてこの番組こそが後の運命を決定づける重大な分岐点になるのです。
このあたりのことはI've本にも書いてあることなのですが、出会いの場面をもう少し詳しく、かつ改めて書き記しておこうと思います。
その日(Wikipediaによると2005年3月26日)、例によって例のごとくBSQR経由でアニスパ!を聞いていたところ、ゲストとして能登麻美子が登板するという話が流れてきて我知らずテンションが上がりました。人並み程度に声優に興味を持ち始めていた時期、特別耳に残る気になる人がゲストとしてやってくるという事実はそれほどまでに人を昂揚させるものだとその時初めて知りました。ただ、それ以上に衝撃だったのは彼女がゲストに呼ばれた理由でした。ざっくり言えば出演しているゲームのプロモーションのための出演だったのですが、そのゲームの内容をラジオ越しに聞く内に、すっかりそのゲームの存在が気になってしまい名前を必至で覚えたことを覚えています。
ラジオから微かに流れてくる、美少女、ツンデレ、ロボット、アクションゲーム、硝煙の香り、当時の自分が求めていたもの全てがそのゲームには詰まっていました。そう、そのゲームこそ、PS2バルドフォースエグゼであり、自分がエロゲオタとして本格的な覚醒を促されたタイトルであり、後の人生のバイブルとして燦然と輝く作品であったのです。
話を戻しまして、とかくタイトル情報だけを入手した自分は、近所にある幾つかのゲームショップを梯子して「ばるどふぉーすって名前のゲームヨヤクしてますか?」と聞いて回りました。その内2軒は大型家電ショップだったので取り扱うはずもなく門前払いを喰らったのですが、最終的に地元の寂れた個人商店で漸く取り扱っていることを突き止めてすかさず予約、発売日当日に「入荷してますか?!」と宣い入手、それから先はゲームに夢中でした。ここから先のことはI've本に詳細に書いてありますので是非手に入れてね!(巧妙な宣伝)

さて、そんなこんなでPC版主題歌であるFace of Factに出会い衝撃を受けた訳ですが、実を言えばことここに至っても歌手に着目したのみであり作曲者には全く目もくれていなかったのです。それは後に同じTEAM BALDRHEADにより制作されたデュエルセイヴァーPS2移植作である「デュエルセイヴァーデスティニー」を続けてプレイした時も同じでした。同じスタッフによる作品なのだから同じ歌手が起用されるのは当たり前だよなー、とその程度の感慨しかなかったのです。その頃にはKOTOKOの関連楽曲は幾つか買いあさっており、当時の友人が聴かせてきた「Re-sublimity」に軽く衝撃を受けていたあたりでしょうか。1分を超えるイントロ、サイケデリックな音色、叙情的な歌詞その全てがKOTOKOという歌手のイメージを決定づけたと言っても過言ではありませんが、それでもやはり「歌手で評価する」域を脱することは叶いませんでした。
その閾値を軽く飛び越える作品に遭遇したのは、2006年春頃です。当時は引っ越しの準備で現実まわりがバタバタしていたこともあり色々と参っていた時期でもありました。そんな精神的に逼迫していたとある日の深夜、なんとはなしにテレビを流し見していると、テレビから流れてくるあまりにも強烈なイメージが目につきました。マズルフラッシュ、硝煙の匂い、陰謀のセオリー、ロアナプラが織りなすアウトロー特有の空気感。そう、ブラックラグーンのアニメでした。そのアニメが放つ強烈な空気を見事に表現したOP映像、そして激しいギターリフを背景に鳴り響くサイケデリックな特有の音色。表示される一瞬のクレジット。MELL高瀬一矢。I've。それらの文字列が鮮明に脳内を過っていきました。
その後しばらくして無事に引っ越しも終わり、それを契機に家に

 

と、ここまで書いたところでask.fmの文字数制限に引っかかってしまいました。ホントに長くなりすぎてしまった……。

 

まぁそれはともかく続きを書いていきますと、引っ越しを機に我が家にネット環境がやって来まして、調べ物が捗るようになりました。それ以前から学校のPCを借り受けてネットの空気には幾分か触れていたので大きな問題も起きることなく調べ物に徹するのにそんなに時間はかかりませんでしたね。

その調べ物の過程で、事ここに至り漸くI'veという名前の意味するところに行き着くのです。そして過去の自分の節目に触れてきた音楽たちは全てI'veに通じていることが、調べていく内に明らかになっていきました。先述のバルドフォースエグゼやデュエルセイヴァーデスティニーはもちろん、電撃文庫に夢中になっていた青春時代、同時に受験勉強で憔悴しきっていた時期に唯一の楽しみだったスターシップ・オペレーターズのOP/EDを飾っていた「radiance/地に還る ~on the Earth~」、同じく電撃文庫に夢中になっていた延長線として素直にアニメ化が楽しみだった灼眼のシャナのナンバーである「緋色の空」「being」、そして「Re-sublimity」、その自分を夢中にしてきた音楽の全てがI'veであると知った時の衝撃は、今でも鮮明に記憶に焼き付いています。

 

そんなこんなで、初めての出会いから実に2年もの間、認識するまで時間を費やしたことになるわけですが、その時間、つまり自分が歩んできたオタクとしての歴史は、同時に自分が知らず知らずのうちに歩んできたI'veおよび音楽に対する価値観の歴史でもあるわけです。そりゃ夢中にならないわけないよね。

『いろとりどりのミライ』所感 ―あるいは『いろどり』という作品群への総括―

感想
  • 前置き

まず最初に断らなければならないが、現在時点で自分は『いろとりどりのセカイ WORLD'S END COMPLETE』同梱特典オリジナルラノベ『いろとりどりのミライ』についての詳細な事柄を口にすることが出来ない。それについて何がしかの言葉を口にするには、まずこれまで紡がれてきた物語とそこから育まれてきた感情によって敷かれた前提条件を振り返る必要があるからだ。つまるところ問答無用で『セカイ』および続編作である『ヒカリ』の内容に真に迫る勢いで踏み込まなければ『ミライ』には到底進めないのである。
なので、簡潔にではあるが『ミライ』を語る上で必要な『セカイ』および『ヒカリ』の要点のみを述べさせていただくことを許していただきたい。

  • 前提条件および愛憎の始まり

『ヒカリ』は『セカイ』における設定の消化不足、あるいは描写されなかったシーンの問題について「話を追加する」という正攻法を真正面から追求した作品であり、その点は物語の補完を行うという本来的な意味でのファンディスクの役割を全うした形になるのだろう。しかしそれらの挿話の果てに開放されるのが、主人公である悠馬≒最果ての古書店の管理人が犯した罪悪について贖罪の方法を問うた最終ルートであったわけなのだが、その『ヒカリ』における贖罪行為もまた罪悪の上に成り立っていることを忘れてはならない。というのも贖罪行為そのものが『ヒカリ』において悠馬に贖罪を強いた本来の悠馬(以下:ユウマ)が、古書店の管理人である悠馬の犯した罪悪の第一被害者であるが故に引き起こされた復讐だからである。復讐の是非そのものや正当性に関してここで論じるつもりはないが、ユウマにとって悠馬は復讐の対象である以上贖罪行為を強いる動機が発生し得るのである。
『ヒカリ』において自分が抱いていた問題意識とはまさにその贖罪および復讐行為の内実である。当人同士で復讐と贖罪が完結するならまだしも、メインヒロインを含めた登場人物全員の関係性に歪を生じさせるような規模にまで膨れ上がり、挙げ句の果てにはメインヒロインである真紅が一定の期日を迎えると死ぬ運命に定めてしまった上に○○(さすがに自粛)を孤独な境遇に追いやってしまっては、それはもはや復讐ではなく単なるテロリズムであると断じざるを得ない。元の原因となっている罪悪以上の行為を重ねてしまっては被害者として持ち得る正当性すらも担保されないのだから、言行不一致であるとしか思えないのである。
ただでさえ『セカイ』では真紅は悠馬との再会を待ち焦がれていて、それを果たした末にこの仕打を受けるのだから『セカイ』に、ひいては真紅に魅了されればされるほど『ヒカリ』の抱える物語造型は許しがたいものがあったのだ。

  • 踏まえた上での『ミライ』

さて、以上のように『ヒカリ』に対して複雑…とまではいかないまでも私怨に近い感情を抱いている状態がゲームクリア時から11ヶ月続いた末に齎されたのが、今回の『いろとりどりのミライ』である。『ヒカリ』の後日談という体裁を整えている、というだけで『ヒカリ』で生じた諸々の感情の決着を漸く見られるのではないか、という淡い期待…あるいは藁にも縋りたい思いがあったのは言うまでもないことである。
そしてその内容は、正しくデファクトスタンダードとしてのファンディスクの役割を全うし、『ヒカリ』で抱いた愛憎半ばの感情の大半を払拭してくれた。
『ヒカリ』では結局果たされなかった、何事もないヒロインとの幸せな日々が『ヒカリ』の後にも続いていることが再確認されたことで、あのテロリズムを経た後に見たかった光景が補完されたのが一番の収穫であり最も望ましいものであったのだから、これだけでも素晴らしいと言う他ない。加えて、復讐に走ったことを理由に贖罪の旅をしているユウマが複数のセカイ…ヒロインとのアフターストーリーが紡がれるセカイの悠馬を陰ながら支え、時には助けるために渡り歩く道程が大筋に盛り込まれており、『ヒカリ』で示された贖罪をユウマが自身にも課していることで『ヒカリ』での行為の釣り合いが取れているのも大きかった。
が、これだけ望んだ『ミライ』が書き綴られていたことにより『ヒカリ』で得た感情が払拭されたにも係わらず、新しく『ミライ』を書き上げたことでどうしても考えこんでしまう部分が出てきてしまったのもまた事実である。それはエピローグにおけるラストシーンに理由が存在する。
そのシーンとは、最終的にユウマが悠馬に復讐に走ったことへの謝罪を口にするというものである。確かに直接的な被害を被ったのも悠馬であるし復讐の対象は悠馬であるのだから、その部分において正当性は担保されているし、真紅や○○を巻き込んだことにも申し訳なさを感じていると独白されてもいるが、あくまで謝罪は悠馬に留まるものであり一番の被害者である彼女たちとは、ついに一言も言葉を交わすことなく終わるのである。つまるところ、彼女たちと面と向かって話し合うという可能性を残して欲しかった、という個人的な我侭なのだ。復讐に対する感情の置所は確かに当人同士で一応の決着を見たし贖罪の旅を通してユウマの立ち位置にも変化が生じていったが、結局彼女たちは当事者であるにも係わらず何も知らされないまま(謝罪すらもないまま!)日常へと回帰していくのである。

  • まとめ

『いろとりどりのミライ』によって大方の愛憎は解消されたことにより評価や感情も一定した故に、フラットに「素晴らしい」と言える物語とキャラ造形を眺めることが出来るようになった。『セカイ』『ヒカリ』と続いた作品群に最後まで付き合うだけの価値を見出すことも出来た。だからこそ、それだけに最後の最後に果たすべきものが果たされないまま終わることだけが残念でならないのである。